東京ビエンナーレ2020/2021 夏秋アーツプロジェクト 開催のお知らせ

東京ビエンナーレ2020/2021は来年7月の本会期を見据え、この夏秋からアーツプロジェクトおよびソーシャルプロジェクトを始動します。ポストコロナ社会を予見する現在進行形のアーツプロジェクトや新たに立ち上がる批評プロジェクトが、この時代の表現や社会に斬り込みます。是非ご注目ください。

詳しくはこちらをご覧ください。

2020.7.31  東京ビエンナーレ2020/2021 夏秋アーツプロジェクト 開催のお知らせ(PDF)

*画像:栗原良彰「大きい人」2021年完成イメージ

批評とメディアの実践プロジェクト[RELATIONS]始動

批評とメディア実践のプロジェクト『RELATIONS』(RELATIONS: A Project for Criticism and Media Practices)を東京ビエンナーレ2020/2021の一環として発足します。

このプロジェクトは、グローバル化やデジタルメディアの発達、そしてCOVID-19や一連の自然災害に代表されるように私たちの生活環境の決定的な変化に伴って、大きく変容しているアートに対応した批評の新しいあり方を模索するプロジェクトです。(詳細はページ下部のステートメントを参照してください)

プロジェクトの始動に伴って、プロジェクトの国内外の編集委員による連続オンライン・レクチャーとシンポジウムを開催します。また、今後定期的に特集と論考を中心としたオンライン・ジャーナルが発行されます。今後の活動にご期待ください。

RELATIONS ウェブサイト (2020年7月30日開設)

RELATIONS 始動記念オンライン・シンポジウム&レクチャー・シリーズ

■ RELATIONS LECTURE 1
タイトル:危機の時代の芸術/ Art in Times of Crisis

7月30日(木)20:00-21:00
講師:クレリア・ゼルニック(パリ高等美術学校・芸術哲学・教授)
言語:仏・日(逐語通訳) Youtube 配信はこちら

■ RELATIONS LECTURE 2
タイトル:津波の後に:日本現代美術2011年以降/After the Tsunami: Japanese Contemporary Art Since 2011
7月31日(金)20:00-21:00講師:エイドリアン・ファヴェル(リーズ大学・社会学・社会理論学部教授)
言語:英語(通訳はありません) Youtube 配信はこちら

■ RELATIONS SYMPOSIUM 1
タイトル:批評とメディアの現在と未来

8月1日(土)13:00-14:30
討議者:加治屋健司(東京大学大学院・総合文化研究科・教授)/清水知子(筑波大学・人文社会系・准教授)/鴻野わか菜(早稲田大学・教育・総合科学学術院 教授)/南後由和(明治大学・情報コミュニケーション学部 准教授
司会:毛利嘉孝(東京藝術大学大学院・国際芸術創造研究科・教授)
言語:日本語(通訳はありません) Youtube 配信はこちら

■ RELATIONS LECTURE 3
タイトル:オーディエンスと美学:クリエイティブサポートレッツとココルーム/Audience and Aesthetics@CS Lets and the Cocoroom

8月3日(月)20:00-21:30
講師:ジャスティン・ジェスティ(ワシントン大学・アジア言語文学・准教授)
言語:英語(通訳はありません) Youtube 配信はこちら

■ RELATIONS LECTURE 4
タイトル:現代美術におけるコラボレーションとコミュニティ形成:日本とデンマークの比較から/Collaboration and Community-Building in Contemporary Art

8月4日(火)20:00-21:00
講師:グンヒルド・ボーグリーン(コペンハーゲン大学・芸術文化学部美術史・視覚文化准教授)
言語:英語(通訳はありません) Youtube 配信はこちら

■ RELATIONS LECTURE 5
タイトル:災害と視覚性/Disaster and Visuality

8月5日(水)20:00-21:00
講師:ジェニファー・ワイゼンフェルド(デューク大学・美術・美術史・ヴィジュアルスタディーズ学科教授)
言語:英語(通訳はありません) Youtube 配信はこちら

RELATIONS: A Project for Criticism and Media Practices
リレーションズ:批評とメディアの実践のプロジェクト

 東京ビエンナーレのプロジェクトの一つとして「リレーションズ:批評とメディアの実践のプロジェクト」を立ち上げます。このプロジェクトは、主としてウェブやソーシャルメディアを中心にデジタル化とグローバル化の時代の批評とメディアのあり方を考えると同時にその実践を行うことを目指します。

 21世紀に入って、アートは大きく変容しつつあります。美術館やギャラリーを中心としたアートは、コミュニティや社会、都市空間、そしてデジタル空間へとその活動の中心を移しました。デジタルメディアの発達は、芸術をますます非物質化しつつあります。参加型芸術、ソーシャリー・エンゲージド・アート、コミュニティ・アート、関係性の美学、エコ・アート、バイオ・アート、スペキュラティヴ・デザイン、ポストヒューマニズム…こうした芸術文化や人文学の新しい語彙は、この新しい動向の登場を対応したものです。

 けれども、その一方で批評の役割は後退しているように見えます。たとえば、アクター・ネットワーク理論で知られる人類学者のブリュノ・ラトゥールは、「なぜ批評は息切れをしてしまったのか?」と問いかけ、近代的な思考の中心だった「批評」の終焉を主張しています。実際、アートという領域に限ってみても、アーティストやキュレーター、アート・ディーラーやコレクターの活動は活発になっているものの「批評家」の役割は後退しているようにも感じられます。本当に「批評」は終わりを迎えつつあるのでしょうか。

 リレーションズは、「批評」の時代が終わったとは考えません。それどころか、むしろ今こそ「批評」が必要な時代だと考えています。なぜなら、現代とは、アートやそれを取り巻く社会や政治、経済の状況が大きく変化しーーーより大きな観点でいえば、人類が大きな危機を迎えているからです。こうした危機の時代にこそ、新しい状況を記述する新しい言語を生み出す「批評」が必要とされているのです。

 しかし、その新しい「批評」はかつてのようなテキストを中心とした「美術批評」のような形式ではないかもしれません。むしろ新しいメディアを積極的に取りながら、「批評」の対象と適切な距離を取るような新しいメディア言語の体系からなるのです。

 「リレーションズ:批評とメディアの実践のプロジェクト」は、新しい時代の新しいアートの形式をめぐる批評とメディアの実践の試みです。それは、アートを中心としながらも、アートとその隣接領域、社会や経済、政治や科学テクノロジーの「関係性」を探るものです。それは「東京ビエンナーレ」の一部をなしつつも、「東京ビエンナーレ」やそれに関連するプロジェクトを批判的に検証しつつ、新しいアートのあり方を模索する試みなのです。

毛利嘉孝(RELATIONS プロジェクト・ディレクター)

RELATIONS: A Project for Criticism and Media Practices

RELATIONS: A Project for Criticism and Media Practices is being launched as part of Tokyo Biennale. The project aims to consider the possibilities of art criticism and media practices in the age of digitization and globalization—particularly in the space of web and social media—and to propose new practices for criticism and media.

Entering the twenty-first century, art has been dramatically changing. The central location of art practice is gradually moving from museums and galleries to community, society, urban space and cyberspace. The development of digital media is making art more immaterial. This new shift is responded to by a set of new vocabulary in the arts and humanities: participatory art, socially engaged art, community art, relational aesthetics, EcoArt, bio-art, speculative design, post-humanism and so on.

The role of critique seems, however, to be undermined. Asking why critique has run out of steam, anthropologist Bruno Latour declared the end of critique, which was once a core of modern philosophy. In fact, within the field of contemporary art alone the presence of art critics has become more and more invisible, while artists, curators, art dealers and collectors are more and more visible. Is the role of critique really ending?

We doubt that the role of critique is ending; rather, now is the time in which we need ‘critique’. This is because we are facing a crisis as art and its surroundings—including society, politics and economy—are drastically transforming themselves. It is in the age of crisis that practices of critique are always needed to create new languages to describe new situations. 

The form of new ‘critique’ may be different from what we call art criticism, which is based on textual languages. It will consist of a variety of media language systems by incorporating new media and keeping an appropriate distance from what is criticized.

RELATIONS is a project for criticism and media practices that tries to create new languages for the arts and media in response to new art forms in the twenty-first century. It attempts to explore the relationship between art and other fields, including those of sociology, economics, politics, science and technology. While this project is part of Tokyo Biennale, it critically examines the biennale and aims to propose new ways of art.

Yoshitaka Mōri (RELATIONS Project Director)

RELATIONS 編集委員

毛利嘉孝 ( 東京藝術大学大学院・国際芸術創造研究科・教授 )
加治屋健司 ( 東京大学大学院・総合文化研究科・教授 )
清水知子( 筑波大学・人文社会系 ・ 准教授 )
鴻野わか菜 ( 早稲田大学・教育・総合科学学術院・教授 )
南後由和 ( 明治大学・情報コミュニケーション学部・准教授 )
ジェニファー・ワイゼンフェルド (デューク大学・美術・美術史・ヴィジュアルスタディーズ学科・教授 )
エイドリアン・ファヴェル ( リーズ大学・社会学・社会理論学部・教授 )
クレリア・ゼルニック (パリ高等美術学校・芸術哲学・教授 )
グンヒルド・ボーグリーン( コペンハーゲン大学・芸術文化学部美術史・視覚文化・准教授 )
ジャスティン・ジェスティ (ワシントン大学・アジア言語文学・准教授)

RELATIONS Editorial Board

Yoshitaka Mōri ( Professor, Tokyo University of the Arts )
Kenji Kajiya ( Professor, University of Tokyo )
Tomoko Shimizu ( Associate Professor, University of Tsukuba )
Wakana Kono ( Professor, Waseda University )
Yoshikazu Nango ( Associate Professor, Meiji University )
Gennifer Weisenfeld ( Professor, Duke University )
Adrian Favell ( Professor, University of Leeds )
Clélia Zernik ( Professor, École nationale supérieure des Beaux-Arts de Paris )
Gunhild Borggreen ( Associate Professor, University of Copenhagen )
Justin Jesty ( Associate Professor, University of Washington

開催概要発表のお知らせ

この夏、国際芸術祭「東京ビエンナーレ2020」を開催いたします。

新型コロナウイルスの感染拡⼤が終息を⾒せない中、2020年東京⼤会の延期という衝撃的なニュースが流れました。オリンピックなき東京、新型コロナウイルス感染症に直⾯する東京で、私たちにできることは何か。多くの⼈々が期待をしていた予定調和が崩れてしまった中、 アートだからこそ、この状況に向き合わなければなりません。「東京ビエンナーレ2020」は、この夏に向けて準備してきた構想に⽴ち、数多くの「⾒なれぬ景⾊」を提⽰し、皆さんに感じていただきたいと考えています。

開催場所となるのは、歴史的⽂化の⾊濃く残る都⼼の北東エリア。会場には、公共空間や学校施設、寺院会堂、歴史的建造物、公開空地などを利⽤します。作品は⽇常の中に現れ、まちの様々な場所に点在します。アート作品を鑑賞することでまちの歴史⽂化に触れたり、作品を体験することで⾝近にいる⾒知らぬ誰かの存在を想像することができたり、⾃分で何かやってみようという創造的な活動が⽣まれる。⼀つひとつは⼩さな動きかもしれません。でも、そうした様々なアクションの積み重ねが、新しい創造的な未来を作るのだと私たちは信じています。

参加する60組以上の作家やクリエイターたちは、現代アートや建築、ファッション、デザインなどというジャンルに縛られず、領域横断的に「東京」というまちやそこに住む⼈たちと深く関わり作品制作を⾏います。

本芸術祭の主体となるのは、私たち市⺠です。東京ビエンナーレは市⺠の皆さんとともに発⾜した市⺠委員会から始まりました。市⺠主導の完全ボトムアップ型の芸術祭として、芸術祭⾃体の新しいフレームや仕組みの実験の場となります。

まちの創造⼒が⽬を覚まし、数々の「⾒なれぬ景⾊」が広がっていく。

「東京ビエンナーレ2020」、始動します。

Press Release
2020.3.27 「東京ビエンナーレ2020」開催概要のお知らせ