アートプロジェクト

静寂:外発的な

ヒルダー・エリサ・ヨンシュドッティル

<Tokyo Biennale 2020 SOCIAL DIVE Artist-in-Residence Projects>

音楽は、「音」と「静寂」という、等しく重要な2つから成り立っています。音はその大きさ、音程、音色、持続時間によって特徴づけられるのに対し、静寂はその存在の間の時間の経過によってのみ成り立ちます。つまり、静寂はハーモニーや音程では聞こえず、時間の経過としてしか感じられません。クラシック音楽のコンサートにおける観客は、音楽を聞きながら、音を生み出す演奏者を見ていますが、同時に音を出していない演奏者を通して静寂を感じているのです。観客としての私たちは音を出していない演奏者にはほとんど注意を払っていませんが、音楽において静寂は、音と同じくらい重要なのです。

この作品のコンサートでは、音を出していない演奏者が他の演奏者の演奏中にステージに座ります。音を出していない演奏者とオーケストラのメンバーとの間には目に見える違いはなく、彼女は沈黙の演奏をしています。音を出さないことを除いては、何の違いもありません。私はオーケストラの中に座って、音と静寂の両方を演奏することで、音楽における音と静寂の重要性と、音と静寂がお互いに関わりながらでしか存在しない、全体を構成する不可欠な側面としての役割について、観客に問いかけます。

(2020年3月現在)

1: 《Tacet: Extrinsic》Sinfonia Nordとの共演より、2019年、Langholtskirkja(レイキャヴィーク、アイスランド)、courtesy of the artist
2: 《Tacet: Extrinsic》Sinfonia Nordとの共演より、ヴィオラとコーラスの間に座り静寂のパフォーマンスを行う、2019年、Hof(アークレイリ、アイスランド)、Photo by Auðunn Ljósmyndari
3: 《Tacet: Extrinsic》Sinfonia Nordとの共演より、2019年、Langholtskirkja(レイキャヴィーク、アイスランド)、courtesy of the artist

作家について

ヒルダー・エリサ・ヨンシュドッティル (アーティスト)

1993年生まれ、アイスランド・レイキャヴィーク出身。2019年にアイスランド芸術大学ファインアート学科を卒業。在学中には、ルツェルン大学芸術学部に交換留学し、彼女の作品「Konzert für Spielzeug und Schwimmbad」がキュレーターのミヒャエル・ズッターによって選ばれ、同校のベスト・オブ・エキシビション「K+」に出品された。レイキャヴィーク音楽大学でクラシック・クラリネットの学位を取得し、世界的にも有名なアイスランド語による合唱団 Hamrahlíðarkórinn(The Hamrahlid choir)と多くの共演を行う。彼女は作品の中で体制批判を用いながらパフォーマンス、映像、インスタレーション、音楽の中にある規範的な物語を遮り、問題提起し、新たな角度からの物事を提示する。

Photo by Kata Jóhanness

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