Photo: Masanori Ikeda (Yukai)
開催概要

東京ビエンナーレとは、“東京”のまちを舞台に“2年に1度”開催する国際芸術祭。世界中から幅広いジャンルの作家やクリエイターが東京のまちに集結し、まちに深く入り込み、地域住民の方々と一緒に作り上げていく新しいタイプの芸術祭です。

名称
東京ビエンナーレ2020/2021
テーマ
見なれぬ景色へ ―純粋×切実×逸脱―
期間
2021年7月~9月 ※会期は変更になる場合があります。
主催
一般社団法人東京ビエンナーレ
後援
台東区、千代田区、文京区、一般社団法人千代田区観光協会、駐日アイスランド大使館
助成
公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
公益社団法人企業メセナ協議会 2021 芸術・文化による社会創造ファンド
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協賛
株式会社大丸松坂屋百貨店
日本ペイント株式会社
株式会社ビルテック
(2020年5月20日時点)
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特別協力
3331 Arts Chiyoda、一般社団法人非営利芸術活動団体コマンドN
総合ディレクター
中村政人、小池一子
プロジェクトプロデューサー
中西 忍
クリエイティブディレクター
佐藤直樹
リエゾンディレクター
橋本樹宜
ソーシャルプロジェクトディレクター
伊藤達矢、佐藤直樹、西田 司、福住 廉、楠見 清、毛利嘉孝
会場
東京都心北東エリア(千代田区、中央区、文京区、台東区の4 区にまたがるエリア)
歴史的建築物、公共空間、学校、店舗屋上、遊休化した建物等(屋内外問わず)
チケット料金
チケット情報の発表は2021年3月ごろを予定
東京ビエンナーレがめざすもの

アート × コミュニティ × 産業

「私たちの文化」を「私たちの場所」で「私たちの手で創る」

東京ビエンナーレが目指す活動は、様々な「私」が出会い、「私たち」で共有する事象です。この地域に昔から暮らす住民と、日本各地、世界各地から集まってきた新しい人々。様々な人々が暮らし、働き、遊ぶ国際都市東京で、アートは多様な出自をもつ人々をつなぎ、このまちの歴史を顕在化し、未来を描き出すことで、「私たち」を出現させ、また新たな「私」を発見します。「アート×コミュニティ×産業」をキーワードに、地域の人々とともに、「HISTORY & FUTURE」「EDUCATION」「WELL-BEING」「RESILIENCY」を活動コンセプトとして、私たちの文化を、私たちの場所でつくっていくこと。東京ビエンナーレは「私たち」がつくる新しい都市と文化の祝祭となります。

アート × コミュニティ × 産業

歴史と未来 HISTORY & FUTURE

私たちが暮らす土地の記憶を知ることなく未来の可能性を語ることはできません。江戸の歴史と文化の記憶を呼び起こし、そこから現在の課題をあぶりだし、そして未来の可能性を考える。隠された歴史の記憶から未来を可視化します。

教育 EDUCATION

東京ビエンナーレは専門性に分断された教育を融合するSTEAM(科学技術、藝術、数学)を実践する触媒となるでしょう。事業を通して、多様な専門性をもった学生が協働し、地域の人々と触れ合い、活動することで、課題解決力のある人材育成に貢献します。

幸福感 WELL-BEING

WELL-BEINGとは、個人においては身体的、精神的、社会的に良好な状態を意味し、社会においては政治的、経済的、文化的、環境的に持続可能な状態です。東京ビエンナーレを通して、「私の」、そして「私たちの」WELL-BEINGを考えます。

回復力 RESILIENCY

「火事と喧嘩は江戸の華」の華と謳われたのは、防災コミュニティのコアであった町火消のこと。江戸の「防災」は地域コミュニティに深く関わっています。東京ビエンナーレを通して地域のつながりを復元し、災害時に対応・復元力のある社会を目指します。

プロジェクト概要

東京ビエンナーレでは、地域に深く入り込み継続的に関わっていく試みとして、以下の3つ+αのプロジェクトを遂行します。アート、建築、デザイン、ファッション、食、テクノロジーなど、幅広いジャンルを超領域横断的に展開。鑑賞型の作品、観客が参加するインスタレーション、トークやイベントなど、あらゆる感覚を刺激する体験を提供します。

東京ビエンナーレ
アートプロジェクト
東京ビエンナーレの趣旨に賛同し、各業界を牽引する作家やクリエイターが企画/推進するアートプロジェクト群です。
東京ビエンナーレ
公募アートプロジェクト

ソーシャルダイブ
「東京にダイブし社会と深く交わること」をミッションに、時代を鋭く読み取り、新しい価値を見出すアーティストを募集。国内公募ではプロジェクトディレクターに楠見清を招き企画/推進。国外公募ではOPEN CALLにより世界中からレジデンス作家を募集。公募によるアートプロジェクト群です。
ソーシャル
プロジェクト
「災害対応力向上プロジェクト」「国際的批評空間創出プロジェクト」「学環創出プロジェクト」「学校活用プロジェクト」「デザインプロジェクト」があり、東京ビエンナーレを通じてアートを介入させながら、継続的にコミュニティと関わり、人材育成プログラムとしても機能するプロジェクトとなります。
連携プロジェクト

同時期に会場エリアで実施されるプロジェクトと連携し、開催情報をオフィシャルWEBサイトやパンフレットに掲載。会場エリア内で同時多発的にイベントが起こる様を顕在化させ、地域を繋ぐ試みを行います。
※希望に沿うことができない場合もございます。予めご了承ください。

東京ビエンナーレ2020/2021 テーマ

見なれぬ景色へ

―純粋×切実×逸脱―

 東京の街の中で何かが起こること、それを起こすのはアートだ、ということを告知するキャッチ・フレーズが「⾒なれぬ景⾊へ」です。
 すでに存在している都市の街並みに思わぬ仕掛けを突きつけて、あ、この景⾊の変化は何だ?と思わせるのはアーティストの仕事。また意識もせずになじんできた通り道に違和感を感じたら、それがアートの仕業だったということも起きるでしょう。⽇常の空間や景⾊を新しい⽬で⾒て未来へつなぐ、今からやり直せることを発⾒する。この厳しい夏だからこそと、アートへの強い願いをこめています。

東京ビエンナーレ2020/2021 総合ディレクター
⼩池⼀⼦(クリエイティブディレクター)

 布に絵の具を塗ったものや、鉄の塊が「芸術」と言われる所以は、どんな点にあるのだろう?

 一般的に有名な絵画や彫刻、オペラやダンスのような崇高で、なにかとても価値が高いものだったり、誰にも真似できない行為だったりを「芸術」と言う。では何故そう言われるのか? 「芸術」と「芸術ではないもの」の違いはどこにあるのだろうか? しかも、それをつくり出す人を「芸術家」や「アーティスト」と特別な言い方をする。いったい、どんなことをできる人がそう呼ばれるのか? 特別な言い方をしなくてはならない理由は、どこにあるのだろうか?

 それらのことを繙くキーワードを3つ挙げる。

 1つ目は「純粋芸術」「ファインアート」と言われる場合の「純粋」である。多様な創造力の中でも、人間の尊厳を感じる崇高な精神性や豊かな心を「純粋」という。大衆的、商業的、作為的な行為とは対照的であり、その純度が高ければ高いほど研ぎ澄まされた人間力を感じる。

 2つ目は、極限的で限界的な状況に追い込まれたときや、どうしようもなく行わなければならないときの「切実」さである。生きていくことと同様に、つくらなければならない行為や表現の質を言う。例えば、震災で家や家族、お金も失い、何もかもなくなったときに、生きていくためにはじめる活動はとても「切実」である。

 3つ目は、この「純粋」な精神力を抱き、かつ「切実」な表現活動をし続けている人がつくり出す様々なものや表現活動が、それまでの状態から他に類を見ない「逸脱」した存在となったときである。際立った表現でなかったものが、いつの間にか変化しはじめ、あるとき「逸脱」する存在感を獲得する。この逸脱の創造プロセスが重要である。

 「純粋」で「切実」な行為や表現が「逸脱」した存在となったとき、私は、そこに「芸術」としか言いようのない状態を感じ取る。

 何気なく紙に鉛筆でさらさらと描いたものに「芸術」を感じるときもあれば、何十年もかけてつくりだした壮大な建築でもまったく感じない場合もある。それは、私論だがこの「純粋」「切実」「逸脱」という3つのどれかが欠けているからである。いくら高価な材料でつくったとしても「純粋」性を感じなくては「芸術」とは言えない。「切実」な表現でないものは、いかに技術的に優れていても、人間的な魅力を喚起しない。「逸脱」していない状態は、いかに「純粋」で「切実」な表現であったとしても普通な表現としか感じ取れない。

 この「純粋」×「切実」×「逸脱」という3つの言葉と、その言葉がクロスすることで生み出される概念を、「東京ビエンナーレ」という新しい構想のフレームの中へ投げかけたい。関東大震災、第二次大戦の空襲で焼け野原になった東京、東日本大震災で起こった福島第一原子力発電所事故。「破壊と創造」が繰り返される日本において、「人間と物質」が生み出して来た様々な仕組みや社会環境を、私という「個」と私たちという「全体」の中にある社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)を構築するプロセスを通して創造していきたい。そのためにも、ここで働き暮らす「私」の中にある「純粋」×「切実」×「逸脱」という“身体的文化因子”が、「私たち」へと一斉に進化するための起因となること。それが新たに創り出す「東京ビエンナーレ」である。別の言い方をすると東京ビエンナーレの各プロジェクトが「私」の内なる壁を打ち破り”一点突破全面展開”する契機となり、膠着している東京に新たなメタボリズムを与えること。そして多様な「私たち」の市民目線から押しつけや享受するだけのものではない、「自分たちの文化」を「自分たちの場所」で、創発的に組成していくこと。それが「私たち」東京ビエンナーレ市民委員会が考える、これからの時代の新しい「東京ビエンナーレ」である。

東京ビエンナーレ2020/2021 総合ディレクター
中村政人(アーティスト)

総合ディレクター
中村政人 Masato Nakamura

1963年秋田県大館市生まれ。アーティスト。東京藝術大学絵画科教授。「アート×コミュニティ×産業」の新たな繋がりを生み出すアートプロジェクトを進める社会派アーティスト。2001年第49回ヴェネツィア・ビエンナーレ、日本館に出品。マクドナルド社のCIを使ったインスタレーション作品が世界的注目を集める。1993年「The Ginburart」(銀座)1994年の「新宿少年アート」(歌舞伎町)でのゲリラ型ストリートアート展。1997年からアーティストイニシアティブコマンドNを主宰。秋葉原電気街を舞台に行なわれた国際ビデオアート展「秋葉原TV」(1999~2000)「ヒミング」(富山県氷見市)、「ゼロダテ」(秋田県大館市)など、地域コミュニティの新しい場をつくり出すアートプロジェクトを多数展開。アーティストイニシアティブ コマンドN(1997~)とアーツ千代田3331(2010~)の活動において10カ所の拠点、740本のアートプロジェクト、3100本のイベントをつくり、2,000名のアーティストと協働、延べ180名のコアスタッフ、約1350名のスタッフ等と協働する。現在、その多くの表現活動から東京の文化芸術資源を開拓する「東京ビエンナーレ」を2020年夏から展開することに挑戦している。

小池一子 Kazuko Koike

1980年「無印良品」創設に携わり、以来アドバイザリーボードを務める。ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展日本館「少女都市」(2000年)、「横尾忠則 十和田ロマン展 POP IT ALL」(2017年、十和田市現代美術館)などの展覧会の企画、ディレクションを手がける。1983年にオルタナティブ・スペース「佐賀町エキジビット・スペース」を創設・主宰し、多くの現代美術家を国内外に紹介(〜2000年)。近著に『イッセイさんはどこから来たの? 三宅一生の人と仕事』(2017年、HeHe)他。2019年、文化庁メディア芸術祭功労賞受賞。武蔵野美術大学名誉教授。