ソーシャルダイブ(海外)
瓦礫の庭園
ブスラ・トゥンチ+ケレム・オザン・バイラクター
※本プロジェクトは、コロナウイルス感染症の影響を受け、作家の来日ができなくなったため中止となりました。
<Tokyo Biennale 2020 SOCIAL DIVE Artist-in-Residence Projects>
東京の工業空間、余白、境界、定義されていない場所で記録した、ドローイング、グラフィック、3D映像からなる本プロジェクトは、都市空間とそこで育つ植物の生態系や、自然と都市の区別を曖昧にする新たなエコシステムに焦点を当てています。
マルチチャンネルの映像インスタレーションでは、インフラシステムや抽象的な形の工業製品、廃墟やコンクリートに覆われた大地に自生する植物が次第に広がってゆく様子、これらの要素が伝統的な園芸手法に言及しながらグラフィックやテキストを通じて展示されます。この奇妙で新しい都市の自然の中に日本庭園特有の美意識を見出しながら、植物や石の歴史的な記憶や変化、そしてそれらが共に現在に何を示すのかを探っていきます。
新しいものの中に伝統を見出すように、コンポジションやコラージュの内容に用いられるイメージは、伝統と近代、自然と都市、人間とその他の生物などの区別の不可能性を明らかにし、文化や生物学の性質上必要なハイブリッド性を示しています。
(2020年3月現在)
1: 《Ruderal Garden》2019年、ベルリン、Photo by Kerem Ozan Bayraktar
2: ケレム・オザン・バイラクター《Nocturne》2019年
3: ブスラ・トゥンチ《Left-over》2019年、イスタンブール
作家について
ブスラ・トゥンチ+ケレム・オザン・バイラクター
ブスラ・トゥンチ(アーティスト、建築家)
建築、アート、デザインの分野で知覚と経験に焦点を当てた作品を制作する建築家、アーティスト。建築、映画、音響を研究してきた経験を元に、「雰囲気」を作品のテーマとして制作。工業用から日常用の素材や、光学ユニット、アナログ機器を用いて、工業空間や混雑した都市の名残や記憶を含む構造物を多く生み出す。
これまでに、Istanbul Modern Museum、Pera Museum、Massimiliano Fuksas、Salon of the Museum of Contemporary Art Belgradeなどとのコラボレーションを行う。主なサイトスペシフィックなプロジェクトでは、「Ather」(2020年、Goethe Instutute、イスタンブール)、「Oculus」(2016年、MSGSÜ Tophane-i Amire、イスタンブール)、「Majaz」(2017年、Buyuk Valide Khan、イスタンブール)、「Suruhu」(2015年、Nakilbent Cistern、イスタンブール)などが経歴にある。また、「Re/Framing Louis Kahn」展(2017年、Pera Museum、イスタンブール)、「Remix」展(2018年、Akbank Sanat、イスタンブール)、「Parajanov, with Sarkis」展(2019年、Pera Museum、イスタンブール)などで空間映像作品を手がけ、建築設計においても様々な功績を持つ。
http://www.busratunc.com/
Kerem Ozan Bayraktar(アーティスト、学者)
イスタンブールを拠点に、SAHA Studio(イスタンブール)で活動し、Sanatoriumの代表を務める。
身体的な環境、そしてコンセプチュアルな環境の構築を中心に作品を制作する。デジタル上での可視化や、写真、アニメーション、モデル、日常的なオブジェクト、テキスト、グラフィックを用いて、自然と人工というシステムにおける障害や境界、崩壊や変化などの振る舞いに焦点を当て、どのように人々はそれらを認知することができるのか考察する。これらのシステムは、自然発生的な都市の植物から太陽系外惑星に至るまで、様々な組織を構成し、内容によっては大きく異なるものもあるが、共通のシステム原理が見出される。
最近では、「Berlin Senate Residency Program」や「Istanbul Biennial Production and Research Programme」のプログラムに参加し、「Rocks and Winds, Germs and Words」展(2019年、Sanatorium、イスタンブール)など過去に6回の個展を開催。また「Ubiquitous Surfaces」展(2019年、Seager Gallery、ロンドン)、「The Sound of No-one Listen」展(2019年、The Corridor Art Space、アムステルダム)、「Openhaus」展(2019年、ZK/U、ベルリン)、「Istanbul Biennial Digestion Program」展(2019年、MSFAU、イスタンブール)、「flesh and bone」展(2019年、Operation Room、イスタンブール)などのグループ展に参加。
Photo by Zeynep Fırat