ソフトバンクとのAR アートの共同開発に関する記者説明会レポート

「東京ビエンナーレ2020/2021」の大きな見どころとなるARアート。東京ビエンナーレとソフトバンクが共同で開発したAR作品についての報道関係者向けの発表会が6月29日(火)に執り行われました。これらAR作品の一部は、ソフトバンクのアプリ「AR  SQUARE」を利用して楽しむことができます。

オープニングトークでは東京ビエンナーレ総合ディレクターの中村政人が登壇。「地域×AR×アートが、あたらしい「まち体験」をひらく。」と題し、アート×テクノロジーの新たな可能性について語りました。

「東京ビエンナーレ2020/2021」総合ディレクターの中村政人

「アートの一番特徴的な要素は、人の気づきを誘発する力があること。その気づきを誘発するための知覚をARまたはそれに準じたxRの技術を使って、新しいナビゲーションをしていきたい。見えないものがスマホをかざすことで可視化される。それによって新しい、現実が拡張された知覚が広がる。ARでは、今までありそうでなかった現実感が得られる。AR三兄弟の川田さんとの出会い、ソフトバンクとの共同開発ができたことで一気に実現化しました。東京ビエンナーレでは、ARで新たなアートの観賞方法、新たなアート体験を提供します」(中村政人)

次にAR三兄弟の川田十夢さんが登壇。「東京ビエンナーレ2020/2021」にはアーティストとして『都市と経験のスケール』という作品を発表。さらに開発者として5つのプロジェクトに参画し、アーティストと意見を交わしながら作品を一緒に創り上げてきました。

AR三兄弟の作品《都市と経験のスケール》2021

「都市に潜む経験を可視化してみたいと制作した作品です。このARは鑑賞者が拡大縮小することができるので、等身大の大きさで見てもいいですし、掌サイズにもできます。東京というまちをフレームにして、このような作品を出すことで現実の拡張を遂げたいと考えています」と川田さん。

AR三兄弟が開発に携わった5つのコラボ作品についての説明が行なわれました。アーティストたちが構想した現実世界では到底実現できないようなアイデアが、AR技術を使うことによって実現。今回作品制作をするにあたり、AR三兄弟とアーティストは対話を重ね、ARならではの体感を伴うような作品に仕上げていきました。アーティストたちも、ARによって作品の可能性が広がり、新しいテクノロジーにチャレンジすることで新たな視座を得たと面白がっていた様子。

オンラインで参加した椿昇さんは「AR技術を使うことで、本来のアートが持つ自由や神出鬼没という姿に戻れたような気がする。テクノロジーが新しいアートの可能性を開いていくということをますます実感した」と作品のデモ画面に満足げな表情を浮かべ、同じくオンライン参加の山縣良和さんは「ARを使うことによって、まずは自分たちの構想を皆さんに伝えることができた」と述べました。

椿昇によるブッダが空から落ちてくるという荒唐無稽なアイデアをAR三兄弟がかたちにした《TOKYO BUDDHA》(開発:AR三兄弟)。
江戸時代初頭まで御茶ノ水駅一帯にあった神田山を現代に蘇らせるという山縣良和の
《Small Mountain in Tokyo》(開発:AR三兄弟)。
伝説のアーティストダダカンを浅草の街に降臨させるという宇川直宏のプロジェクト《DOMMUNE | THE 100 JAPANESE COMTEMPORARY ARTISTS》(開発:AR三兄弟)。
建築家の千葉学による《ビルクライム》(開発:AR三兄弟)。新たに広がる未来の都市計画の構想を提案。AR技術によって実世界と重なり合う未来の都市の姿が体感できる。
韓国の作家イ・ブルが90年代に行なったパフォーマンスがAR技術によって現代の東京に蘇る。
《私はピクニックをしている子犬だと思う? 1990 ~ 2021》(開発:AR三兄弟)
Sorry for suffering – You think I’m a puppy on a picnic? 1990stills from original performanceCourtesy: Studio Lee Bul

そして、AR三兄弟の川田十夢さんとソフトバンクのAR SQUARE アプリ開発担当 大塚哲治さん、東京ビエンナーレ2020/2021プログラムディレクターの宮本武典が登壇。「5G LAB × ARTで東京はもっと面白くなる!?」というテーマでトークを行ないました。

左から宮本武典、ソフトバンク株式会社 サービス企画本部コンテンツ推進統括部プロダクト開発部 大塚哲治さん、AR三兄弟の川田十夢さん。

ソフトバンクの大塚さんより、5G時代ならではの臨場感あふれる視聴体験を実現するコンテンツ配信サービス「5G LAB」の取り組みを紹介。「高速大容量」「低遅延」「多接続」である5Gの通信環境を用いて「AR SQUARE」「VR SQUARE」「FR SQUARE」「GAME SQUARE」という4つのサービスを展開しており、今回東京ビエンナーレとタッグを組むのは現実世界を拡張する「AR SQUARE」ということ。現在はアイドルやミュージシャン、お笑い芸人等のモデルを独自の「xR Studio」でモデリングし、AR化を行なっているが、それに加え「5G×アート」という取り組みとして東京ビエンナーレと共同で作品を開発しました。

また、5G LAB×アートの連携企画として、人気漫画『進撃の巨人』とのコラボレーションを実施。AR三兄弟が開発に加わり、「進撃の巨人ARアート」が東京のまちに出現すると発表。これらのAR作品には、国土交通省が推進する「PLATEAU」というデータが活用されており、平面ARでは決して表現できない、立体かつダイナミックさを表現できたとのこと。

「進撃の巨人ARアート」(開発:AR三兄弟) ©諫山創・講談社/「進撃の巨人」The Final Season製作委員会

最後に、報道陣の方たちに「見なれぬ景色」を体験してもらおうと、AR体験を実施しました。

AR三兄弟による『OZの魔法使い』2021

これは、雑誌『オズマガジン』の裏表紙に掲載される広告、そしてソフトバンクショップに置かれるポストカード上で見られるAR三兄弟の作品です。一枚の紙からAR技術によって様々な体験が繰り出される模様に、報道陣の皆さんも思わず声を挙げて驚いていた様子。ARアート作品への期待感は高まっていったようです。


東京ビエンナーレとソフトバンクのコラボARアート|アンケートご協力のお願い
皆様からのご意見をもとに、今後のサービスを改善してまいります。ぜひご意見・ご感想をお聞かせください。(回答は匿名で集計されます)
アンケート主催:ソフトバンク株式会社
https://stn.mb.softbank.jp/u1u4W