アートプロジェクト

オセロ

陳 飛豪(チェン・フェイハオ)

<Tokyo Biennale 2020 SOCIAL DIVE Artist-in-Residence Projects>

陳飛豪(チェン・フェイハオ)は、戯曲『オセロ』が幅広い観衆に受け入れられた、日本植民地時代の台湾演劇についてのリサーチを行っています。シェイクスピア原作であるこの戯曲は、日本近代演劇の発展に寄与した川上音二郎による翻案が行われました。江見水蔭を招いて翻訳・書き直しを行い、舞台を日本の明治時代に変更し、大日本帝国の最初の植民地であった台湾までもが含まれていました。

川上の戯曲には、近代台湾における二つの特徴的な意味が見られます。ひとつ目は、シェイクスピアの古典が、演劇の近代化を象徴するものとして、アジアの学術的文脈で大きな影響を与えたということです。ふたつ目は、大日本帝国の飛躍という政治的文脈と、その時代への眼差しが、川上の『オセロ』に顕著に現れているということです。川上音次郎の『オセロ』を基礎にして発展した台湾演劇に関与する人々の間に繰り広げられる、議論やアイデアにも関心を持っています。

川上の『オセロ』の歴史的意義を見出すため、戯曲の背景にある帝国主義の文脈を再構成し、議論を促すことを試みます。このプロジェクトは、台湾での朗読と台本読み(役者による台本読みパフォーマンス)でクライマックスを迎え、川上バージョンの『オセロ』を積極的に読んで精査することを演劇人に広く呼びかけます。最後に、それらのフッテージが作品の最終形態としての展示されるビデオ・インスタレーションへと落とし込まれます。

(2020年3月現在)

1: 《「谷一陸軍大尉 高田実」、「香村良吉 藤澤浅二郎」、「戦地視察俳優 川上音二郎」、「俳優チヤムナ」》1894年、小国政、早稲田大学坪内博士記念演劇博物館
2: 《オセロ》1903年、早稲田大学坪内博士記念演劇博物館
3: 《オセロ》2020年、ビデオ作品のスナップショットより

作家について

陳 飛豪(チェン・フェイハオ) (アーティスト、ジャーナリスト)

1985年、台湾新竹市生まれ。コンセプチュアルな写真と動画を用いて、歴史や文化、社会の変化に関連した様々な事象を読み解く作家。イメージとインスタレーション、ビデオ、文学を組み合わせ、異なるメディアの収束の可能性を探っている。
これまでにアーティストとして、2016年にはTaipei Biennale、2017年にTaipei Artist Villageで行われた「Jodori Khiang-Community Artfest」、「Yao-Chi City: Taiwan Paranormal Literature and Contemporary Art Exhibition」(Taiwan Contemporary Culture Lab)、「Shattered Sanctity」(the Museum of Contemporary Art Taipei and Taiwan Air Force Innovation Base)などのイベントや展覧会に参加。

Photo by Chen, Fei-hao (陳飛豪)

アートプロジェクト