アートプロジェクト

Praying for Tokyo 東京に祈る――「聖の空間(仮題)」

宮永愛子

1927年夏に完成した聖橋は関東大震災の復興を記念して神田川にかけられました。北側の端には江戸幕府の官学所「湯島聖堂」、南端にはビザンチン建築風のニコライ堂(日本ハリストス正教会教団復活大聖堂)を擁する、東西文化のかけ橋です。宮永愛子は図書館発祥の地といわれる湯島聖堂の大らかな回廊にガラスの本たちとそれに響きあう特別なマテリアル、古代の石サヌカイトを装置します。「聖に捧げる」インスタレーションです。

(2020年3月現在)

1: ©MIYANAGA Aiko Courtesy Mizuma Art Gallery、Photo by 木奥惠三
2: ©MIYANAGA Aiko Courtesy Mizuma Art Gallery、Photo by 宮島径
3: ©MIYANAGA Aiko Courtesy Mizuma Art Gallery、Photo by 木奥惠三

作家について

宮永愛子 (現代美術家)

美術家。1974年、京都生まれ。2008年東京藝術大学大学院修士課程修了。日用品をナフタリンでかたどったオブジェや、塩、陶器の貫入音や葉脈を使ったインスタレーションなど、気配の痕跡を用いて時を視覚化する作品で注目を集める。2013年「日産アートアワード」初代グランプリ受賞。主な個展に「宮永愛子:漕法」高松市美術館(香川、2019年)、「みちかけの透き間」大原美術館有隣荘(岡山、2017年)、「宮永愛子:なかそら―空中空―」国立国際美術館(大阪、2012年)など。

Photo by MATSUKAGE ©MIYANAGA Aiko Courtesy Mizuma Art Gallery

《Praying for Tokyo 東京に祈る》について

「時間の軸を縦にとれば、東京の過去から未来への流れがあり、横を見まわせば人や空間のつながりという軸がある。その交差点に立って我々は混乱の現在を実感する。過去の悲劇を忘れないこと、今から未来へできることは何か。まずは祈ることから私たちは始めよう、アートで。」(小池一子)

内藤 礼、宮永愛子、柳井信乃という3人の女性アーティストとともに、東京の各所で過去を鎮魂し、未来へと捧げる「祈りの空間」をつくりだします。

「東京に祈る(仮題)」
内藤礼

1945年3月10日の東京大空襲は下町空襲とも呼ばれています(死者数は10万人を超えた)。広島、長崎への原子爆弾投下の一方で、都市に壊滅的被害をもたらすという戦略が日本の敗戦の決定的要因となっていく。東京の現在から振り返る過去の街と人を思うとき、私たちは真の意味での鎮魂を祈念します。すなわち、惨劇を繰り返すことのない現在を確保し続けること。内藤礼の空間創造と祈りの場への導きから実感していきます。

「Unconscious Ritual」
柳井信乃

新進アーティストの柳井信乃は、人間の身体行動と社会動向の関連を考察している。世界中でナショナリズムの高揚が見られる一方でコロナウイルス蔓延下に生まれている連帯への兆しにも注目。日常的に、社会の中で気づかぬうちに擦りこまれている所作や決まりごとなどに気づくためのエクササイズ。集団の維持に役立つ機能のある行為などに焦点を当て、それらを意識できる身体の訓練を呼びかけるパフォーマンス表現の企画です。

キュレーター

小池一子 (クリエイティブディレクター/佐賀町アーカイブ主宰)

1980年「無印良品」創設に携わり、以来アドバイザリーボードを務める。ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展日本館「少女都市」(2000年)、「横尾忠則 十和田ロマン展 POP IT ALL」(2017年、十和田市現代美術館)などの展覧会の企画、ディレクションを手がける。1983年にオルタナティブ・スペース「佐賀町エキジビット・スペース」を創設・主宰し、多くの現代美術家を国内外に紹介(〜2000年)。近著に『イッセイさんはどこから来たの? 三宅一生の人と仕事』(2017年、HeHe)他。2019年、文化庁メディア芸術祭功労賞受賞。武蔵野美術大学名誉教授。
Photo: Taishi Hirokawa

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