アートプロジェクト

引き継がれる息遣い

フィオナ・アムンセン

<Tokyo Biennale 2020 SOCIAL DIVE Artist-in-Residence Projects>

「落語」、「映画制作」、「残心」という一見無関係に見える三つの要素から成り立つ本プロジェクトでは、これらの実践を組み合わせて、現代社会を形成する日本の帝国主義的な戦争に関わる歴史を忘却せず、今日に引き継がれる為の方法論を探ります。地域の歴史の目撃者の証言、落語の手法(聞くことと想像すること)、相手と気を一体化する合気道の練習、これらを映像で記録していきます。

主にはワークショップに地域の高齢者の方々、落語家、そして合気道家に参加してもらい、言葉、記憶、歴史が現在に息づいていることを再確認できるような、議論的でありながらも思いやりの空間を構築する方法を探求します。さらに歴史の証言が、いかに落語や合気道の要素と結びつくことができるのか本プロジェクトでは提示します。

歴史がどのように現在を形成しているかということを、想像力・抽象化・接続・意識的存在や聞くことを通して探求し、戦争を体験した世代と未来の世代を繋ぐものとして、「落語」と「映画制作」と「残心」に焦点を当てているのです。過去の物語を学ぶことは、日本のみならず全世界で加速しているナショナリズムに対し、オルタナティブを考えるひとつの手法となることでしょう。

(2020年3月現在)

1: 《A Body that Lives》2017年、「A Body that Lives」展より、ST PAUL St Gallery、オークランド工科大学、Photo by Sam Hartnett
2: 2017年2月6日撮影、江東区森下の新大橋通りで撮影された小さな木
3: 《It Was a Cave Like This》2018年、「A Body that Lives」展より、 at ST PAUL St Gallery、オークランド工科大学、Photo by Sam Hartnett

作家について

フィオナ・アムンセン (アーティスト、オークランド工科大学講師)

Aotearoa(ニュージーランド)出身、在住。
記録写真や映像のイメージが、どのように現在にも痛みが伴う歴史の経験に繋がり、活性化し、ケアを伴った関係を結ぶことができるかを作品制作を通じて見つけ出している。
特定の歴史的出来事と、目撃することの社会的責任、そしてドキュメンタリー写真や映像を用いる上での倫理のありか、これらの関係を確立することに興味を持ちながら活動。機密指定の期間が終了した軍事的に生産されたアーカイブ画像を、自身で撮影した今日の写真や映像で編集し、歴史的なものであるかどうかに関わらず、植民地帝国主義の暴力性の一種の視覚的、及び聴覚にも頼った記録としての目撃の可能性を調査する。彼女が作り出すイメージは、単純に見ただけでは得ることのできない想像力と、単純に認識するというレベルよりも深く聞く経験の関係性に基づき、倫理的な思いやりもそこに存在することができる。
アジア太平洋地域、米国、ヨーロッパで広く展示を行っており、彼女の著作は学術誌に掲載されている。2019年にはフルブライト・ニュージーランド奨学生賞を受賞し、軍事的な核技術、軍事資本主義、核環境破壊、精神性との関係を探る写真と文章のプロジェクト「Coming back to Life」(2019年~)の初期調査を始めた。

Photo by Krissakorn Thinthupthai

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